HOUSE KANGAROO

Program: shop, gallery, office, house - renovation

Location: Kawsaki, Kanagawa

Floor area:165.23㎡

photo: Ichiro Mishima, ON

Award: gallery IHA 住宅建築賞 2020 3位

(審査員:長谷川逸子/北山恒/塚本由晴/西沢立衛/永山祐子/増田信吾)

2017-

東京近郊にある鉄骨造3階建ての改修計画で、1階パン屋KANGAROO、2階カフェとして長い間地域の人々に利用され、交流の場として親しまれた建物である。オーナーの意向によりパン屋とカフェの規模縮小が予定され、私たちの設計事務所と住居を併設して2017年に改修を開始した。1階にパン屋とカフェ兼ギャラリー、2階にオープンスペースと設計事務所、3階に住居という構成で、35年前は専用住宅だった建物を現在では5つの用途からなる複合的な使い方をしている。

私たちは2階にあったカフェがなくなっても小規模ながら交流を継続させ、街に接点を持たせようと、通りに対して開放的な作りにすることにした。前面道路をまたいで傾斜の緑が連続した豊かな環境に恵まれているため、2階の外壁に巨大な開口を開けて、既存の室内だったところを半間屋外化し、新規に半間はね出すことで、1間分の新しいテラスを置いた。中間期に大きく開放できる開口、デッキが連続したベンチ、既存の鉄骨柱、植栽から前面の緑地へと奥行きを持たせながら、風景を大きく取り込んでいる。テラスは既存から仕上げや構造の縁を切り、別空間の質を持たせながらも両側は曲面にして既存建物に接し、空間が柔らかく既存に馴染むようにしている。既存の痕跡と各階に開けた新しい開口に続く周辺環境を読み込みながら居場所を作ると同時に、豊かな緑地帯に続く街の風景となるような建物のあり方や使い方を考えた。1階のギャラリーは誰でも気軽に表現できる場として日常的に使われ、ある時は2階にも機能が拡張されていろいろな人が訪れるようになった。

この改修計画は、多くの工事をセルフビルドで行っている。どうやったら住居としてだけではなく人々を招きながらオープンに建物を使って行けるのか。住居というプライバシーを守りながらも人々を受け入れる使い方を考え運用しながら、今も改修を続けている。

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